相手の応手を考えつくそう
上記の記事にも書きましたが、詰碁問題を解くときは、相手の応手をすべて考えつくして結論を導かなければなりません。ひとつでも考え抜けがあると、解答としては不正解ですし、実践では相手にその手を打たれて相手の石を取りそこねたり、自分を取られたりするわけです。
三手先を読む
相手の応手を考える基本は、三手先を読んで考えるということです。三手先とは、自分が次に打つ手を第1手目とし、相手が第2手目を打ったあとの自分の第3手目のことです。
相手が第2手目をどのように打ってきても、その次に自分が第3手目として有効な手がある。ここを見越して第1手目を考えることになります。
第1型
次の図を考えてみましょう。
図1
図1で黒先です。石の形から、黒が活き石となるためにはどうすればよいかという問題だということがわかります。さて、第1手目はどこでしょうか?
図2
正解は図2の黒1です。
では、この正解を導くために、第2手目、第3手目をどう考えつくすのでしょうか?
図3
白の第2手目として、有効そうな手は、図3のA〜Jでしょうか。
Aから順番に、少し丁寧に考えてみましょう。
図4
図4は、白が図3のAを打ったときの応手です。少なくとも黒3に受ければこの石は活きることができます。(正確には、地が得ということで、図3のDの空点に黒3を打つのが詰碁問題として正解になっていますが、ここでは省略します。)
図3のBは、第3手目で黒が白2をすぐに取れますので、ここでは白の手として除外します。
図5
白の第2手目が図3のC, D, F, G, H, I, Jのいずれの場合も、図5の黒3が黒の第3手目になります。この手のポイントは、黒1, 黒3の2手で1眼を確保している点です。
図6
では、図5の眼づくりを邪魔する手となる、図3のEを白の第2手目として打った図が図6ですが、この場合はどうでしょうか?これは図4と同じ手である黒3が正しい受け方となります。
結局白の第2手目の応手を考えつくすと、黒の3手目は図4や図6の黒3と図5の黒3の二種類の受けに集約されました。
しかし、この二種類の受けが有効であることをまだ説明していません。それを説明するためには、今度は黒3を第1手目として、次の三手先を考えつくすことが必要になります。
図7
図7は、図4の続きです。図4の黒3を改めて黒1と書きました。
図7で、白2が白の新たな第2手目だとすると、黒3と抜いて受けます。そしてこの図はAとBが見合いになっているので、やっと活き石であることがはっきりしました。白Aなら黒B、白Bなら黒Aです。なお、前者の場合、黒Bを打ったあと、後に黒Bの一路右に黒石を打つことで完全に2眼を持つということです。
図8
次に、図8の白2を考えましょう。この場合は、黒3に継ぎ、今度はこの図のAとBが見合いになります。白A、黒Bとなった場合は、同様に後に黒Bの一路右に黒石を打つことで完全に2眼を持ちます。
図9
図9の白2とくれば、黒3、または
図10
図10の黒3でいずれも黒活きです。
残り2箇所の可能性がありますが、いずれも黒が活き石になることを確かめてみてください。図は省略します。
一つ一つの図を書いていくと、記事がわかりづらくなるのでこのあたりでとめることにします。このように三手先にどう打つか、打つ手があるかということを読みながら第一手目を選ぶ、ということを繰り返していくことになります。
図3のA〜Jというように、打つ場所として、あり得る空点がたくさんあっても、結局図4(図6)と図5の2通りに集約されることがわかりました。図2の黒1を選択することにより、2つの活きる道が明確になりました。この2つ(あるいはそれ以上の場合でもOK)あるということが、重要なポイントとなります。相手に邪魔されてももう一方に打てるからです。
この記事では、自分の石(ここでは黒石)を守る問題を例にあげましたが、攻める問題も考え方は同じです。
最初は「こんなにたくさん読むなんてできない」と思われるかもしれませんが、少し慣れてくるとそうでもありません。読まなくてよいところがどんどん増えてきます。たくさん問題を解いて、慣れて行きましょう。