囲碁の棋力を上げるためのトレーニング方法の一つとして、実戦対局、棋譜並べとともに、必ず詰碁があげられます。
プロは特に修行時代に猛烈に詰碁に取り組みます。とにかく解きまくるそうです。
対してアマチュアは、多くの方が詰碁に苦手意識を感じ、敬遠する傾向にあるようです。
布石はプロ並みの手を打つ人でも死活になるとさっぱりなアマチュアが実に多いと、よくプロが書いた書籍では書かれていますね。
では、詰碁にしっかり取り組むことによって、どのような力をつけることをねらいとするのでしょうか。
目次
読みの力をつける
いうまでもありませんが、読みの力がついてきます。石で囲まれた部分なので局所的にはなりますが、自分が打った手に対して、相手の対応を複数手考えて検討し、それぞれについて自分がどう打つかを考える。これを続けていくわけですから、読みの力は着実についていきます。
頭の中に鮮明な碁盤と碁石の像を思い浮かべることができるようになったらしめたものです。頭の中の碁盤に、自由に碁石を並べられるようになっていきます。
複数の局面図を頭の中で比較できるようになる
読みの力がついていくと、いくつかの候補手を順に読み、出来上がる複数の局面図を頭の中で見比べられるようになっていきます。最初はその手数は少ないですが、これも増えていくでしょう。
この比較がまた重要なのです。自分に有利な局面に導く手を選べるわけですから。
これは、ヨセの力にもつながります。基本的に自分からヨセるときの候補手の見比べや選択ができたり、また黒からヨセた時と白からヨセた時の差(出入り、言い替えるると、自分が何目増やせるか)を計算できるようになります。ヨセは地で得をする方から順に打っていきますから、こういった計算が勝負として重要になってくるのです。
地で損をしなくなる
囲まれた自分の石が活きるか死ぬか、一手かければ活きるのであれば手入れしますし、相手が打ってきたときに手をいれれば十分なら手抜きしておくでしょう。反対に、自分で囲んだ相手石が、あと一手で死に石になるのであればそこに石を打つでしょうし、相手から打ってきたときに自分が打てば十分ならばやはり手抜きです。
無駄な手を打って自分の地を減らしてしまうということがなくなってきます。
手抜きできるポイントがわかるようになる
詰碁にしっかり取り組んでいくと、死活にかかわる場所に関して、無駄な手を打って相手に手番を渡してしまって、例えば残った大場を打ち損じる、などということがなくなっていきます。
攻め合いの力をつける
詰碁は、碁盤上の一部分ではありますが、お互いの石の活き死にをかけた戦いをするわけですから、攻め合いの力がつきます。もちろん攻め合いの力がすべてとは言えませんし、大局観や碁盤全体のバランス感覚が重要ではありますが、やはり攻め合いの力は囲碁においては重要な要素です。
基本死活のストックを増やす
詰碁にたくさん取り組んでいると、基本的な死活に関する石の形を覚えてしまうようになります。この基本死活のストックが頭の中で増えていくことも、とても大切です。
実際の対局では無限に時間があるわけではありません。基本的な死活の形がでてきたら、その都度読むのではなく、瞬時に活き死にの判定と手順が頭に浮かぶようにし、思考の効率化を図りたいのです。その分の時間を本当に読まないといけない局面に充てたいものです。
暗記が苦手でも、自分の実戦で出現したら、しっかりと頭に定着するものです。たくさん問題に取り組み、対局で一つでも活用できるようにしましょう。
アマチュア同士の対局における詰碁
ここまで述べてきたことは、現実のアマチュア同士の対局では、特に両対局者とも囲碁を覚えて間もないころであれば、部分的に詰碁ができたとき、正確に決着がついていない状態で終局することもありえると思います。
それはそれでよし!両者がパスして終局に合意すれば終局なのですから。
もしそばに上級者がいるとか、その棋譜をとっておいてあとで上級者やプロに見てもらう機会があればそのときに勉強すればよいのです。両対局者が気づかない手筋を指摘してくれるかもしれません。
たくさん対局をして、理解を深めて行きましょう。